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11話 冷たい指輪

last update Date de publication: 2026-06-14 06:57:17

そう私が告げると九条征哉の瞳がギラっと光る。

「あなたは利用されたんです。一ノ瀬家にも、そして一ノ瀬の家と婚約を結んでいた高橋家にも。そしてこれが一番、重要ですが」

そこで言葉を切り、言う。

「あなたの想像も出来ないような連中にも、あなたは捨て駒として使われ、捨てられた」

九条征哉の組んでいる手が、力がこもってその指先が白くなっている。

「やり返したいとは思いませんか?」

私がそう言うと、九条征哉はパッと手を離し、言う。

「続けろ」

そう言われて私は短く息をつく。

(上々よ、美緒)

心の中で自分を励まし、続ける。

「今の私には何もありません。九条征哉様も既にご存知の通り、私は公的に葬られた身です」

そう言いながら私は視線を下げる。

そうだ、私には何も無い。差し出せるものといえば、それはたった一つ……。

「ですから私が九条征哉様に差し出せるのはこの身、一つです」

そう言って九条征哉を見る。ここで笑い飛ばされたら、それはもう仕方ない。けれど私は一ノ瀬家の娘、敵対している家の内部情報を持っている。けれど手の内を全て明かすのは賢明じゃない。だからこその提案だった。この男がどう私を見ているのか
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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   140話 歪曲

    制限の設けられたドレス。忌々しい思いをかみ殺して、私はドレスを選ぶ。ドレスサロンで見た、あの女を囲むドレスが頭の中によみがえる。そして今、私の目の前に置かれているドレスたちを見て、溜息をつく。どう見たって、あの女を囲んでいたドレスの方が高級で、優雅で上品だった。私の今、目の前にあるドレスたちはやはり、何かが足りない。それでも私には今、それらしか選べない。ここで癇癪を起こしても意味は無い。私がもっと上のものをと望めば予算オーバーなのだから。あの女はどんなドレスを着て来るのだろうか。それを考えるだけでも腹が立つ。(とにかく今は、ここに並んでいる中で自分に合ったものを選び出すのよ)そう思い直し、私はドレスを選ぶ。目についたのは真っ赤なドレスだった。深紅のドレスで、胸元が大きく開いている。ウェストが絞ってあって、体のラインが美しく強調されているドレス。私はさっそく、そのドレスを試着する。そのドレスが目に入った時には私の為に作られたようだと思っていたけれど、実際に着てみるとウェストが少しきつい。今の私は流産した直後で、体のラインも少し崩れている。あまり好きではないけれど、コルセットを巻かなければいけない。(これくらいなら大丈夫よ)私はそう思い、そのドレスに決める。美しい体のライン、目の覚めるような深紅、開いた胸元、豊かな胸……大満足だった。たった一つを覗けば。それは肌の色だった。私の肌の色はあの女に比べたら浅黒い。日焼けには気を使っているし、手入れだって欠かさない。けれどこればかりは生まれ持ったもの、としか言いようが無い。あの女は生まれつき肌が白く、それも私のコンプレックスを刺激していた。幼い頃はそれ程、気にはなっていなかった。けれど、年齢を重ねていくうちに、肌の色が白い方が持て囃される事が分かり、私の嫉妬心に火が点いた。鶏ガラのように細い体も、肌の色が白い事も、顔の造形が儚げで美しい事も、全てが私とは違っていた。私はお母様に良く似ていて、肌の色は生まれた時から浅黒く、体つきも大きく、体質的には太りやすい。幼い頃、私は少し太っていて、でもそれは何不自由なく生活させて貰っていた証拠だと思っていた。お母様もあの女を見て、私に対して栄養を取れていない、可哀想な子だと、事あるごとにそう言ったのだ。試着室でドレスを脱ぎ、ふと鏡に映った自身

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